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 Excel 活用法


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資金繰り表の作成


資金繰りのABC

○売上が上がっても資金は増えない

売上がいくら上がっても仕入を現金でして、売上代金の回収を掛けでしていたら、資金はすぐにショートしてしまいます。

いわゆる「黒字倒産」というやつです。売掛金や受取手形が増加すると資金は減ります。反対に、売掛金や受取手形の減少は資金を増加させます。

買掛金や支払手形の増加は上と逆に、資金を増加させます。

一般に、売掛金・受取手形などの流動資産が増加すると資金は減少し、買掛金・支払手形などの流動負債が増加すると資金は増加します。(ここでいう資金は現金預金のことで、簿記上の資産とは違います。)
 
資金が減少しない費用がある

水道光熱費や交通費などは、その支払によって資金が減少しますが、減価償却費や各種引当金の繰入額はその月に費用を計上したからといって、実際には資金は減少しません。

たとえば、退職給与引当繰入額を費用として計上しても、その月に退職する人がいなければ、資金は会社に留まります。

これらの費用は非資金費用と呼ばれますが、資金繰り表から除外する必要があります。

利益が出れば資金は増加、損がでれば資金は減少

すべて現金で取引して在庫のない会社では、利益がそのまま資金の増加になり、損は資金の減少になります。

これはすぐに理解できるでしょう。安く仕入れて高く売って現金で回収すれば必ず資金は増加するのです。

しかし、通常の会社では商品の在庫を抱えていますし、信用取引をしていますので、前に説明した理由により、会計上の利益は出ていても資金が不足することはあります。

以上のことをまとめると次の式になります。

資金の増加=利益−(売掛金・受取手形の増加)
    +(買掛金・支払手形の増加)+非資金費用


簡単な資金繰り表の作成

それでは今までのことを参考にして簡単な資金繰り表を作成してみましょう。まず次図を見て下さい。


A列に摘要、B列に各摘要の項目、C列にデータを入力します。C列は計算式を表示するために列幅をやや多くとっています。
 7〜12行までは、資金の増加項目を記入します。会社によって異なりますが、ここでは、現金売上、売掛金回収、受取手形取立、受取手形割引、前受金、雑収入にしました。
 C13に上記の項目の合計を
=SUM(C7:C12)で計算します。
 
14〜25行までは、資金の減少項目を記入します。ここでは、現金仕入、買掛金支払、

支払手形決済、給与・賃金、事務用品費、交際費、消耗品費、支払手数料、図書費、交通費、雑費、その他経費にしました。

これらの費用は前に説明したように現金支出を伴う費用です。C26に上記の項目の合計を=SUM(C14:C25)で計算します。

これで資金の収入と支出が計算されました。つぎに、C27で収入−支出=C13-C26を計算します。

資金が足りないときは銀行から借り入れることもできますので、28行目には銀行から借り入れたときの項目、29行目には銀行への返済の項目を設定します。 30行目には現金預金の残高を記入する項目を設定します。

手許資金は、現金過不足+借入−返済+繰越資金ですので、C31に=C27+C28-C29+C30と計算式を入力します。

資金不足が発生したときすぐに分かるように備考欄に=IF(C31<0,"資金不足","OK")と計算式を入力します。

これで大体のフォームはできたので、形を整えるため罫線を引きます。
それでは実際に数値を入力してみましょう。

まず、C30に現金預金残高を入力します。そして、C列の収入の部に来月の入金予定額を入力します。

つぎに、支出予定額をC列の支出の部に入力します。すると、来月にどのくらいの資金過不足があるかC27に表示されます。

銀行借り入れがあるときはC28へ、返済があるときはC29に入力します。

最終的な資金残高を以上の数値を元にC31で計算されます。もし、この値が+であれば「OK」、−であれば「資金不足」と備考欄に表示されます。


本格的な資金繰り表の作成

「簡単な資金繰り表」を作成して、資金繰り表のフォームは理解できたと思います。このフォームが資金繰りの基本になります。しかし、これでは1ヶ月先だけの資金繰りですので、銀行借入のタイミングを計ることは無理です。

そこで、改良を加えて6ヶ月先まで予想できる本格的な資金繰り表を作成します。先に作成した資金繰り表のC列をコピーして、次図のようなフォームを作成します。 

C列の繰越欄は前6ヶ月の残高を記入します。D34には=C31と前月の手許資金が自動的に入力されるようにします。この計算式をE34〜I34までコピーしてください。

J7の合計欄には、C〜I列の合計が計算されるように=SUM(C7:I7)と計算式を入力して下のセルにコピーしてください。

また、J30には期首の繰越金額が入りますので、=C30と計算式を入力します。
それでは実際に数値を入力してみましょう。まず、C30に期首現金預金残高を入力します。

そして、期の途中から資金繰り表を作成するときは、C列に各科目の金額を入力します。そして、C31が手許資金残高に一致しているかを確認します。

売上の推移、売掛金の回収状況、手形の取立期日、支払手形の決済日、給与や経費などを検討して、6ヶ月の予定金額を入力します。

資金繰り表をよく見ると、6月に資金不足が発生することが分かります。この資金繰り表を銀行に見せて、6月中に資金を手当すると良いでしょう。